家庭教師ヒットマンREBORN!

ココロの処方箋



 カチャカチャと食器のぶつかる小気味いい軽快なリズムに合わせて、ハルは鼻歌をふんふん歌いながら食事の後片付けをしていた。京子にはランボやイーピンの面倒を頼み、他の皆と客間に行ってもらっている。
 ここ──何故か送られてきてしまった10年後の世界、ボンゴレファミリーのアジト──のキッチンはとっても広くて綺麗。リボーンの話を聞くには状況は最悪だけれど、とりあえず目の前にいる人達はツナを除けば無傷で元気だ。
「皆さんいっぱいカレー食べてくれたから、お鍋が空っぽになって洗うのが楽ちんでした〜」
 誰に聞かせるまでもない、ハルの独り言。
 こんな風に明るく振る舞ってみせて、平常心を保とうというハルの無意識の自己防衛策。

 ハルと京子は戦闘スキルは全くない、ただの14才の女の子。ツナ達に守ってもらわないと無事では済まない。迂闊に敵対しているファミリーに捕まって人質にでもされたら、優しいツナ達はきっとハルや京子の為に犠牲になってしまうかもしれない。
 ハルはそんな自分を口惜しく思い、せめて自分がツナ達に出来ることを精一杯しようと思う。
「ここの食器棚は高いです…よっ、と…」
 自分の背の丈よりも高い箇所の棚に食器をしまおうと、ハルはつま先立ちになる。そのせいで、バランスがふらふらと危うくなってしまい、だんだんと自分の身体が後ろに傾いでいく。

「はひっ、た、倒れ──!」

 転んでしまう!

 そう慌てたハルだが、何かが後ろからぐっと自分の身体を支えてくれた。
「ったく、危なっかしーな。バカ女」
 憎まれ口を叩きながらも、ハルの手から食器をひょいと取り上げて、棚に戻す。

「ご、くでらさん」
 後ろから抱きすくめられるような体勢になっているのが恥ずかしくて、ハルは顔を赤くして口をぱくぱくさせている。そのまま獄寺が食器棚を閉じたが、両腕を食器棚から離す気配がない。ハルは振り返ることも出来ずに、どうしたらいいのか悩んでいた。ああ、このまま獄寺の腕を自分が食器棚から外させて、その流れでここの隙間から身体をすり抜けさせたらいい、そうしようとハルが獄寺の腕に触れようとしたその瞬間、獄寺がハルの細い手首を掴みあげて、ぐるっとハルの身体を自分に向かい合わせハルの身体を棚に押し付けてしまう。
「な、痛いですよ獄寺さん!離して下さい」
 ぷぅと頬を膨らませて抗議するハルの顎を空いている方の腕で掴み、獄寺はそのまま無理矢理唇を重ねた。
「──!!」
 驚いたハルが、思わず獄寺の唇に噛み付いてしまった。
「…ってぇな、大人しくしてろ」
「な、何なんですか!突然乙女の唇を奪っておきながらその態度は!離して下さい、ハルはツナさんのところに行きますっ」
「うるせぇんだよ!少しその口閉じてな」
「ふぐっ!?んむ……!」
 再び獄寺の唇がハルの唇に重なり、舌先がハルの口内へ忍び込んでくる。ねっとりとした生暖かいものが舌先に絡み付いてそれをハルは必死に抵抗する。貪るような獄寺の荒々しいキスを受けながら、ハルはぼんやりと獄寺を見た。

 口喧嘩はいつものこと、だけれど今の獄寺はハルの知っている獄寺とはまるで違う男だ。こんな風に力で女をねじ伏せて乱暴しようなんてことが出来る男ではなかったか?何がこんな風に獄寺の様子を変えたのか。

 答えは簡単だ。

 それは今置かれている状況そのものではないか。未知なる敵と戦わなければならない、戦い方もよく分からない、自分以上に不安に襲われているはずだ。そして、どうにかしてその不安から逃れたくて──ハルの元へ来たのだということ。
「っふ…ぅ」
 ようやく口付けが解かれて、足りなかった酸素をハルは取り込む。2人の舌先から細い糸のように唾液がつと、垂れた。
「獄寺さん、手を離して下さい」
 穏やかに、優しくハルは言う。
「ハルは逃げませんから」
 その一言で、獄寺の中で張りつめた糸がぷつんと切れて、ハルの手首をきつく握りしめた指を解いてだらりと腕を下げた。寄りかかるように自分に体重を預けてきた獄寺を、ハルの両腕は優しく包み込んだ。
「……お前」
「ハルです。ハルは"お前"なんて名前じゃありません」
「……ハル」
 ハルが怒ってないことも怯えていないことにも安心したようで、獄寺はそっとハルの背中に腕を回した。同じ年の少女の柔らかな身体を壊さないように。
「獄寺さんの気の済むようにしていいですよ」
「ハル、お前っ」
「ハルがここにいる理由を、与えて下さい」
 視線を合わせて、ハルはにっこりと笑う。獄寺の目はためらった色を見せていたが、やがて決意したのかハルを抱きしめた腕に力を込めた。
「いいんだな…?俺は十代目じゃねぇぞ」
「……分かってますよ、そんなこと」

 ハルに恥をかかせてはならない。
 獄寺の腕がするりと動いて、ごつごつした指がハルの服の下に潜り込んだ。
 制服のブラウスのボタンを外しながら、布をスカートの中から引き抜いていく。やがてボタンが全部外れ、ハルの両肩からすとんとブラウスが滑り落ちて足元に落ちる。ブラウスの下は、薄いグリーンのキャミソールとお揃いの色のブラジャー。獄寺はそっとキャミソールの中に両手を忍ばせ、ブラジャーをずっと強引に持ち上げてハルの胸を下から持ち上げるように触れる。ハルは着痩せするタイプなのだろう、獄寺が普段見ていたハルの身体から想像するよりもその胸は豊かで、そして温かくてとても柔らかかった。
 ごくりと喉を鳴らして、そっと指を動かして揉みしだいてみると、ハルがくすぐったそうに身体をくねらせる。
「はんっ…」
 ハルの桜色の唇から、艶っぽい吐息が零れた。その言の葉は獄寺の耳元から脳へと滑り込み、獄寺の理性の制御を破壊する。

 一気にキャミソールごとブラジャーをはぎ取り、目の前の少女は白い柔肌を男の前に晒した。
「……ぁ、あんまり見ないで下さい……」
 ここはキッチンで、明かりもついたまま。その照明がハルの肌をよりきめ細やかに照らし返している。
「ハル、思ってたよりも女らしいんだな…」
「どういう意味ですかっ!」
「いや…胸とか結構あるし…」
 そう言って、獄寺は今度は前から鷲掴みにする形でハルの胸を弄り出す。指を動かしてそのぷるんとした弾力を堪能する。淡く色づいた乳首を親指と人差し指でくりくりと擦ってやると、やがて固くなってぴんと立ち上がった。
「乳首固くなってる」
「え、エロいこと言わないで…!」
「だって、ハルがエロいんだもんよ」
 ハルは獄寺のストレートな言葉が恥ずかしくて、ぷいと顔を横に背ける。獄寺はそこで露になったうなじにちゅっとキスを落とす。電流が走ったようなびりっとした感覚がハルの背筋を通り、ゾクゾクと震える。

 獄寺はそのままハルの胸を玩びながら唇はうなじから鎖骨、そして胸へと降りてくる。左手は胸から動かさず、右手はハルの太ももから撫で上げるようにしてスカートの中へと侵入し、下着の上から股間を捉える。指を動かして、もうかなり勃ち上がっている自分の肉棒を侵入させる場所を探し当てると、そこを重点的に突き上げる。
 空いた右胸の飾りを舌先でチロチロと舐め回し、唾液でべとべとにしてしまう。
「どうよ、気持ちいいか?」
「獄、寺さんっ…あっ、ああ、やっ、やぁーーっ…!!」
ハルは胸と股間の刺激で耐えられなくなり、軽く達してしまった。

 達したおかげで密壷から吐き出された愛液が下着をじっとりと湿らせて、そこを触りまくっていた獄寺の指をも濡らす。
「はぁっ、はっ、は…」
 肩で息をするハル。絶頂の後の余韻で瞳がとろんとしていて、まるで別人のようだと獄寺は笑う。
「ハルだけ気持ちいいのは不公平だよな」
「獄寺さん…?」
「……隼人って、呼べ。何か気持ち悪い。それと、後ろからと前から、どっちがいい?」
 そう言いながら獄寺は自分のズボンのベルトを外して、ジッパーを下ろして自分のモノをハルの眼前に突きつけた。男のそれはハルにとって初めて見るもので、あまりのグロテスクさに逃げ出したくなったが、膝がガクガク言っていて、正直立っているのもしんどい状態だった。

「そ、それっ、それが、ハルの中に入るんですか」
 ハルは反り立って天を仰いでいる獄寺のモノを指差して尋ねる。
「当たり前だろ」
「無理、無理ですっ、入りません!」
「入るかどうかやってみればいいじゃねえか。で、前と後ろは?」
「……む、り」

 この期に及んでまだごねるハルに苛立ち、獄寺はハルの手を引っ張り床にハルの身体を転がした。天井を仰ぎ見るハルの上に獄寺が上から覆い被さる。ハルの下着を足から抜いてしまい、隠すものがなくなった薄い茂みとひっそり色づくクリトリスとトロトロと愛液を零し続ける密壷をじっくりと獄寺は眺める。密壷の入り口を広げるように右手の指で押さえながら、左手の人差し指をこぷりと差し入れる。愛液のおかげでそれはさほど抵抗なく入った。
「ひっ…!」
「ほら、人差し指入ったぞ」
 身体で覚えるのが一番とばかりに、獄寺は中で人差し指をぐちゅぐちゅ動かして、内襞を擦りあげてやる。すると、面白いようにハルの身体がびくりと上下に動いた。
「や、あっ、やめ…」
「中指も入れるぞ」
 言うが早いか獄寺は中指も密壷の奥へと差し入れた。今度は少し抵抗がある。が、それはほんの少しの間で、すぐにスムーズに中で動かせるようになった。
「ほら、中指追加。分かるだろ?」
「あっ!あぁ、なか、2本動いてる…あんっ、ああ」
「すげ……ハルまじで処女?指締め付けてくるぞ」
「はっ、初めてで、あっやぁ、ん!」

 獄寺の指戯に背を反らせて喘ぐハルを上から見下ろして、獄寺の肉棒の先からとろりと先走りの精液が零れる。
「わり…もうこっちが限界。入れるぞ」
 指を壷から引き抜き、そこに自分のモノの先端を押し当てる。

「えっ、あっ…!!!」
 ふと、中の異物がなくなったかと思ったら、今度は先程とは比べ物にならないほどの質量がハルの中に強引に攻め入ってきた。驚きのあまり、ハルは思わず力を入れてそれを外へ追い出そうとしてしまう。
「いや…痛い、いたぁ…!」
「バカっ、力抜けっ…こっちも痛てぇんだよ!」
 ハルの中がぎゅうぎゅうに締め付け過ぎて、獄寺のモノはハルの子宮への途中から先に進めない。どうしたらハルの身体から力が抜けるか獄寺は必死に考え、とりあえずモノは中に納めたままで一旦息をついて、ふと充血しぷっくりと芽を出しているクリトリスが目に入った。愛液にまみれた指先でクリトリスをゆるゆる撫でさすってやると、ハルの意識はそこからの刺激に向かったらしく、少しだけ締め付けが楽になった。
「女って感じるところがたくさんあんだな…」
 獄寺のモノを飲み込んだまま、クリトリスからの刺激で喘ぎよがるハルを見て、感心すらしてしまう。
「ふぁ、あぁ、ごく、でらさ…」
「隼人だって」
「はや、とさん…!そこ、あんまり、弄らないで」
「またイッちまう?ハルばっかりずるい」
 ぷつりとクリトリスを押しつぶしながら、だんだん緩む締め付けに少しずつ獄寺もハルの奥へと進んでいく。

「そん、なことぉ、あっ、あぁ、来るっ…!」
「よし……っ!!」

 動けるようになったハルの中へ獄寺は一気にモノを押し進め、子宮内への侵入に成功した。ガクガクと震えるハルの腰をしっかり掴んで獄寺はピストン運動を始める。キッチンという場所に、お互いの肌がぶつかり合う音と、繋がった場所からぐちゅぐちゅと卑猥な水音を響かせる。
「あ、はぁっ、んくぅ!隼人さん、すご、く熱いっ…」
「ハルの奥、すげぇ。気持ちいい…!」
 獄寺は与えられる快楽に取り憑かれたように激しく腰を振り続けて、絶頂へと登りつめる。
「ゃん、あ、あぁ、あああっ、奥に、当たるのっ!隼人さんのがぁ…ひゃああぁん!」
「あぁ…ハルっ、ハル…!」
 ピストンがひと際激しくなると、獄寺の身体が痙攣してハルの膣内で精液をどっぷりと吐き出してしまった。

「あぁ…」
 射精の恍惚に放心してしまった獄寺だが、はっと自分のしでかしたことに気がついた。

「やべ…中に出しちまった…」

 ずるりとハルの中から自分のモノを引き出すと、ハルの入り口からは獄寺が出した精液と達したハルの愛液と、処女膜を破った証の赤い血が混じったものがどろりと外へ流れ出した。

ハルもそれをぼんやりと見ていた。
「……平気です」
「ハル?」
「生理は先週に終わってますし。もし、もしもこれで赤ちゃんが出来ちゃっても…隼人さんとの子なら産みますよ」
 ハルの思いがけない告白に獄寺はどう反応していいのか分からない。女のこんな生々しい事情はたかが14才の子供の自分にとっては無縁だと思っていた。でも、ハルは違う。14才でも、やることやって後に重たいものを背負うのは女なのだ。

 守ってやりたい。いや、絶対守ってみせる。
 自分の子を産んでもいいと言ってくれるこの少女は、獄寺自身の手で絶対守り抜いてやろうと思った。

「オレさ、もしものことになったら、ちゃんと責任とるから。それと…絶対、守るから。ハルのこと」
「は、やと、さん」
 ハルの大きな瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちて頬と床を濡らした。それを見て、ああ、不安なのは自分だけではないのだと獄寺は思い知った。
「ありがと、ハル。オレ、みっともないな」
「いいえ…ハルなんかより獄寺さんの方が怖いのは当たり前ですよ」
 獄寺は優しくハルの方に腕を回して身体を起こしてやり、そのままぎゅっと抱きしめた。心臓の鼓動が、体温が優しく重なってやがてひとつになったような感覚になる。


 2人の恋は、こうして始まりを告げた。



「あれ、そういや獄寺くんどうしたんだろう?」
 今更のようにぽつりと客間でちびっ子達の面倒を見ながらリボーン達と談笑していたツナがぽつりと呟いた。
「野暮なこと言うな、ツナ」
 ふっと嘲笑うようにリボーンが答える。リボーンには見透かされているらしい、2人の行動が。
「お前も覚悟きっちり決めろよ」
 部下に先に行かれてちゃボスの名折れだ、と付け足したリボーンの言葉の意味がさっぱり分からないツナだった。



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