家庭教師ヒットマンREBORN!
ツナと獄寺と山本でふらりと立ち寄った漫画喫茶兼ネットカフェ。 山本は漫画を読むことに集中している。獄寺は律儀にノートと教科書を広げて宿題を片付けている。 そんな中、ツナは家にパソコンがないので思いっきりインターネットをしよう!と一台のパソコンの前でネットサーフィンをしていると、いわゆるアダルト動画類を紹介しているサイトにうっかり入り込んでしまった。インデックスページにサンプルとして流されている動画をツナは適当に流し見しながらマウスのホイールをくるくる回して画面をスクロールさせていく。 「!?」 ある動画に目が止まってぴたりとマウスを動かしていた手が止まる。 タイトルは「○学生の美少女を生でハメ撮り!」と書かれているもので、小さな文字で動画のセールスポイントも書かれている。 ”彼女はまだ○学生、年の割に成熟しているおっぱいから吹き出すのは紛れもない本物のミルク。体育倉庫で体操着の彼女は複数の男の手によってエロエロな身体に開発されてしまう…。そこのブルマ萌え〜、ロリ巨乳萌えな方に超おススメです!” そして動画で小鳥のような可愛い声で喘いでいる少女の顔は自分が良く知っている顔で…。 (え!?は、ハル…だよねこれ?なんでこんなことしてんの!?) 目を逸らしたい、けれども、続きも気になるのも本心で。ハメ撮りなんて書かれているが本当にそんなことをされているのか。 今流れているサンプル動画部分では彼女は体操着とブラジャーを自らの手でたくし上げ、名前も知らない男の手によってその柔らかな乳房をいやらしく揉まれて、初めはガチガチと怯えていた表情が次第に熱を帯びているような感じになって…。 そこで動画は頭の部分に戻ってしまう。後を見たければ金を払えと言うことだ。ツナは鞄からノートとシャープペンシルを出し、このサイトのアドレスを控えた。 「ツナー、そろそろ帰ろーぜ。俺腹減った」 ツナがブラウザを閉じたと同時に山本がひょっこりとツナの後ろに立って声をかけてきた。 「あ、うんそうだね、もういい時間だもんね!」 赤くなって慌てているツナの様子を見て、山本は「もしかしてエロサイトとか見てた?」とケラケラと笑ってからかってきたけれども、ツナは山本と目を合わせられなくて斜め下の床に視線を固定した。 (獄寺くんにパソコン借りよう…あ、そうか、2人で見たらいいのか。え、でもそれはハルが可哀想だな…でもうちはネットの回線なんて引いてないし) そこでツナが思い立ったのは、「雲雀に頼もう」だった。雲雀ならきっとこんなの興味ないだろうし、何とかしてくれる! そう思い、ツナは翌日雲雀の城である応接室へと出向く。応接室にどんと構えた雲雀が「何の用?」と鬱陶しそうに尋ね、あまり雲雀の機嫌を損ねたくないツナは簡潔に「ちょっと見たいサイトがあるんですけど、パソコン貸して貰えませんか?」とお願いしてみたところ、雲雀の態度ががらっと変わった。 「へえ、どんなサイト?僕も見たいな」 にやりと口端をあげて微笑む雲雀に対して、ツナが「駄目です」と言えるはずもなく。雲雀ならば…まあ…そんなにハルと接点もないだろうしいいかな、とツナはこくんと頷く。アドレスをメモしたノートを広げて、カタカタとアドレスバーにタイピングしていき、エンターを押せば昨日見たアダルト動画のサイトのインデックスページがぱっと開く。 「ワォ、君も人並みにこういうモノに興味あるんだね」 横でちょっと驚いている雲雀をよそに画面をスクロールさせていくと、果たしてその動画はまだこのページにあった。動画を全て見る為にはお金が必要。いくらなのかは分からないけれど、とりあえず雲雀に有料動画を見ることの許可を貰ってクリックすると、金額の案内や説明が詳しく書かれたページへとまず飛んだ。金額は思っていたより高くなく、何とかツナのお小遣いで賄えることにほっとした。 「ねぇ、君この動画が見たいの?」 「えっ…はい?」 雲雀がふぅんとツナを一瞥すると、ツナからマウスを奪いブラウザの画面を閉じてインターネット接続を切ってしまった。手を出せずにただ雲雀の行動を見ていたツナだったが、突然耳に引っ掛けるタイプの小型ヘッドフォンを雲雀に渡される。 「あの動画のマスターデータを見せてあげるよ」 ……何と言いましたか雲雀さん。マスターデータと?ということはあの動画をアダルトサイトに売りに出したのは……雲雀さん!? ツナは言われるがままにヘッドフォンを耳にかけて、パソコンのモニタをじっと見ていると、雲雀がデスクトップのアイコンをクリックし、動画再生ソフトが開いて音声が聞こえてくる。あのアダルトサイトで見たものよりももっと生々しい物音、そして男性の声、ハルの声。ハルの体操着姿を下から舐めるように画面が動く。新体操で鍛えられているハルの身体のラインは滑らかで、姿勢がとても美しい。細い足首にきゅっと締まったふくらはぎ、太ももは細い割に柔らかそうに見える。 「彼女はいい素材だよ。騙しやすいし…この通りの淫乱体質だしね」 ツナはぎゅっと拳を握りしめて、モニタの中でごつい体格の男達に全身を嬲られて快楽に堕ちていくように華奢で白い肌をくねらせて嬌声をあげるハルから目を離すことは出来なかった。マスターデータにはモザイクなどの処理はかけられていなく、嫌がるハルの足を無理矢理開かせて撮られた性器がどアップで映っていたり、そこの奥へと侵入していく男達の指や…ペニスも丸見えだった。 「雲雀さん…何で、何でハルにこんなことさせたんですか!?」 興奮するよりもずっと悔しさの方がツナの心を苛む。ハルはツナにとって大事な友達、そのハルは画面の中で涙を流していた。いつも笑顔のハルの泣き顔なんて見たくはない。 「甘いよね、ボンゴレ十代目・沢田綱吉」 雲雀は自分を睨んでいるツナを上から見下ろしてふっと笑った。 「どんな組織にも、金は必要なんだよ」 それは何処まで権力があるのか分からない風紀委員にも、ボンゴレというマフィアファミリーにも。 「君もいずれは理解する、組織の頂点に立つ者なら。金に綺麗も汚いもないってことをね」 雲雀はそう言って、肩にかかる学ランを翻して応接室から出ていく。 「ごめん…ハル、ごめん…」 守ってやれなかった。守ってあげたかった。無垢な彼女の心も身体も。 ツナは不甲斐ない自分の身をひたすら責め、パソコンのモニタに向かってずっとハルへの謝罪の言葉を呟いていた。 |