処女はお姉さまに恋してる


BABY PINK




 少女だけが集う艶やかな華の園、聖應女学院。
 小学生と間違われてもおかしくなさそうな小さな少女が頭につけた大きなピンクのリボンを揺らしながら、上級生の教室を目指してぱたぱたと廊下を走っていた。
 3−A。
 目的地の教室の入り口に掲げられたプレートにはそう書かれていた。
「あっ、あの、1年の周防院奏と申します。宮小路瑞穂様に取り次ぎをお願いしますです」
 奏は、はぁはぁと息を切らせながら入り口に近い席にいる上級生に声をかけた。
「瑞穂さんね?ちょっと待っていてね」
 取り次いでくれるのはいつもこの人──高根美智子さまだ。彼女はこのクラスに訪れる人達の取り次ぎをする「受付嬢」として活躍している。容姿も穏やかで優しそうなので、小心者の奏でも声をかけることにあまり躊躇わなくて済む。

 美智子はきょろきょろと教室を見回して瑞穂の姿を探した。が、どうしたことか見当たらない。
「美智子さん、どうかなさって?」
 同級生であり前年度エルダー・シスターである十条紫苑がそんな美智子の様子を見て問う。
「紫苑さま、瑞穂さんがどこにいるかご存じないかしら?奏ちゃんが訪ねてきているの」
「ああ、瑞穂さんなら先程緋沙子先生に呼び出されて教室を出ていかれたわ。……いいわ、私が奏ちゃんのところに行きますから」
「そうですか、ありがとうございます紫苑さま」
 美智子は紫苑の思惑に気づかずに、素直に礼を述べた。

「奏ちゃん」
「紫苑お姉さま!ご、ごきげんようなのです」
 紫苑の姿を見るなり奏はちょっと緊張した。何せ相手は前エルダー。紫苑の気高い気品がその姿から満ちあふれているように見えて、冴えない1生徒である奏はどうしても萎縮気味になってしまう。
 しかし、瑞穂を通して知り合った奏のことを紫苑は大変気に入ってくれていて、可愛い可愛いと……ぬいぐるみのようにぎゅうぎゅう抱きしめてくれる。家族のいない奏にとってその紫苑のぬくもりは、分からないけれどきっとお母さんってこんな感じなのかな、と思わせる。
「ごめんなさいね、瑞穂さんは先生に呼び出されていて今はいないの」
「そうなのですか……」
 今はランチタイム。奏は瑞穂と一緒にランチを食べようと思ってお弁当を持ってきた。ピンクのチェック柄の可愛らしいお弁当包みをきゅっと握りしめて、奏は残念そうにうつむいた。
「ねえ奏ちゃん、私で良ければ、瑞穂さんの代わりにランチご一緒にどうかしら?」
 軽く片目を閉じてウインクを奏に向ける紫苑。紫苑は時たまこんな茶目っ気を見せる。そんな紫苑の姿に思わず奏は笑みを漏らした。
「はい、紫苑お姉さま、是非!」
「じゃあ、お弁当を取ってくるから待っていてね」
 紫苑はとても華麗にくるりと身体を回して、自分の席へと向かった。

 いつも瑞穂と学院で食事をとるときは食堂だった。紫苑と3人で食べたことも何度もある。天気がいいときはテラスがあって、そこで中庭を見ながら晴れた空の下でランチを取ったりもした。
 けれど、今日紫苑が選んだのはどちらでもなかった。
 人が殆どいない、校舎の裏庭の芝生の上だった。
「静かでいいでしょう?風通りも良いし、私のお気に入りの場所なのよ」
 ハンカチを広げて芝生の上に置いて、そこに紫苑は座った。奏にも同じことを促すと、奏は慌てて同じようにハンカチを広げてそこにちょこんと座った。
「こんなところに来たのは奏初めてです」
「ふふ。まだ瑞穂さんにも教えていないのよ」
「瑞穂お姉さまにも?なのにどうして奏なんかを連れてきて下さったのですか?」
「ふふ、私が大好きな奏ちゃんと2人きりになりたかったから、ここにしたのよ……って言ったら?」
 紫苑がちょんと白く細い指先で奏の頬をつつくと、奏は途端に頭に血が上って顔を真っ赤にする。
「し、しし、紫苑お姉さまっ」
「可愛いわね奏ちゃんは。こんな言葉で真っ赤になってしまうなんて」
「ご冗談が過ぎますですっ!」
「あら、心外だわ。私が奏ちゃんのことが大好きなのは冗談でもなんでもない、紛れもない真実よ?」
 反応が大げさな奏の様子が可笑しくてくすくすと笑いながら、紫苑は巾着袋から自分のお弁当箱を取り出す。奏もお弁当包みを広げて、いつも寮母さんが作ってくれるサンドウイッチを膝の上に置いた。
 いただきましょう、という紫苑の言葉で、2人きりのランチが始まった。

 お互いのお弁当の中身の話やら、奏は寮でまりやや由佳里たちと話した話題など、そんな他愛もない会話をしながら、お弁当を済ませた。環境は確かに食堂やテラスよりも穏やかで涼しくて、風が芝生を撫でて通り抜けていくのを感じながらの食事は気持ち良かった。

 奏は満腹感と心地よさでほぉーっとしていると、背中に突然圧迫感を感じた。紫苑が後ろから抱きついていたのだ。紫苑の豊満で柔らかな胸が奏の肩に乗せられていて、後ろからでも十分奏の呼吸を乱すことが出来た。
「ふゅっ、紫苑お姉さまっ……?くく、苦しいのですよ〜」
「奏ちゃんは後ろからでも抱き心地が良いのね。ふわふわしてて、綿菓子のようよ」
 奏がじたばたしても紫苑は抱擁を解こうとはしない。それはいつものことなのだが、今日は何かが違うようで奏は少し不安になる。さりげなく回された紫苑の手は丁度奏の胸の前で組まれて、その紫苑の手が申し訳程度に膨らんだ奏の小さな胸を優しく揉みだした。
「あっ、あ、紫苑おねぇさま、何をなさってるのですかぁ!」
「じっとしていて。……あぁ、奏ちゃんの胸、小さいけれどとても触り心地が良いわ。制服の上からしか触れられないのがじれったい」
 突然の紫苑のいたずらに、奏は頬を赤らめてじっと耐える。しかし、紫苑の手に身体を任せていると、じわじわと身体の芯がおかしな熱を帯びてきた。
「……あら」
 奏の胸を堪能していた紫苑は、そこに些細な変化を感じた。奏の吐き出す息は熱っぽくなり、そして小さな胸にある飾りがその存在を主張し始めていたのだ。紫苑は制服の上からその飾りをきゅ、と摘んでみる。すると奏が紫苑の腕の中で小さく喘いだ。どうやら布ずれのせいで直に触るよりも摩擦があるので余計に感じるらしい。
「奏ちゃん、どう?気持ちいいのかしら?」
 ふるっと奏は頭を横に振る。どうやら感じていることを認めたくないらしい。
「あらあら……じゃあ、もっと気持ち良くなれることをしましょうか」
「えっ…ぁ、し、おん、お姉さまっっ」
 紫苑は左手で奏の細い身体を自分の身体に押さえ込み動けなくし、右腕は胸から下へ移動して奏の制服のスカートをたくし上げた。
 この学校は制服のスカート丈が何種類か有り、紫苑が着用しているものはロングスカートタイプのものだが、奏は膝上20cmくらいであろうか、それくらいの短いミニスカートタイプを着用していた。
 奏はどうすることも出来ずに、ただ紫苑の指先を見つめていた。だんだん露になる自分の下腹部が恥ずかしくて、太ももをもじもじと擦り合わせる。
「可愛らしい下着ね、奏ちゃんらしいわ」
 奏の下着は、ノーマルな形の下着。淡いピンク色のコットンの生地で作られている。ちょこんと前面の上中央にサテンの生地のリボンが縫い付けられていた。
「は、恥ずかしいですっ…や、やめてくださいなのですよ、紫苑お姉さま」
「私はずっと奏ちゃんとこういうことがしたかった。とても可愛いわ、私の奏ちゃん」
 つつ…と紫苑は人差し指で奏の下着の上をなぞる。ふに、と力を入れると沈む部分を探り当ててそこに何度も指を行き来させると、紫苑の腕の中で奏の身体がふるふると震えた。
「嫌、いやなのです、そこはっ」
 奏は目尻に涙を浮かべ、紫苑にやめるよう懇願する。しかし、すんなり聞くような紫苑ではない。
「ここはどうして嫌なのかしら?」
 悪戯な笑みを浮かべて、まるで兎を狩る狼のような気分の紫苑。
「そ…それ、はっ…あぅっ!」
 奏は紫苑の指が自分の恥丘を擦る度に熱くなっていく身体を持て余していた。
 紫苑のことが好きだからこそ、紫苑には見せたくないみっともない自分の姿なのに。けれども、紫苑はどんどん自分を追いつめてくる。
「紫苑お姉さまに、こん、な奏の姿は、見られたくな、い、のです…」
「じゃあお願いは却下ね。私は見たいもの」
「そんなぁ…あ、ぁっ、ダメなのです」
「濡れてきてるわ。嬉しい、感じてるのね」
 じんわりと下着に奏の愛液のシミが広がっていき、紫苑の指にも奏の愛液がしっとりとつく。紫苑はそれをぺろりと舐めた。
 これ以上は下着を汚してしまうだけ、と紫苑はするすると奏の下着を下ろしてしまい、その秘部を外気に晒す。奏は「ダメです、恥ずかしいのです紫苑お姉さま!」ともがいだが、抵抗出来る術もなく。

 奏の細い両の太ももの間に指を差し入れ、紫苑は直に奏のクリトリスと密壷に指を這わせる。密壷の花弁を撫でると、奥からトロトロとした愛液が溢れて紫苑の指にまとわりついた。
「ア、あぁっ…」
 直の刺激が強くて、奏ははぁはぁと熱い吐息を零す。そのひざはガクガクと震えていて、自分ではどうすることも出来ない。
「奏ちゃん、我慢しないで」
「は、しお、んお姉さ…まっ、お姉さま…!」
 縋るような奏の喘ぎ声がたまらなく愛おしくて、紫苑の身体も熱くなる。一緒に果てることが出来れば良いが、こんなところではそれは難しい。自分の処理は後に、と紫苑はひたすら奏の絶頂を望んだ。ぬるぬるとぬめる奏の密壷の内襞をくちゃくちゅと人差し指と中指でかき混ぜながら、クリトリスを親指でぷつりと潰すように擦り上げる。
「あ、ダメぇ、紫苑お姉さまぁ、激しいのですよおぉ!!」
「ふふ、可愛いわ、とても可愛いわよ奏ちゃん…!イって、私の指でイって頂戴!」
 紫苑の鼓動が激しくなる。腕の中の少女の痴態に激しく興奮している自分がいる。そのことがさらに紫苑を性的に掻き立てる。
 ああ、この子はなんて可愛いのだろう。
 自分の指戯でこんなに性器をぐちやぐちやのトロトロにして。
 もっともっと乱れさせてみたくなる…!

「はひ、ひっ…あぁ、奏もうダメなのです…イッちゃいま、す──!!!」
 言うが早いか、奏は身体を激しく揺らせて、ぷしゃあっと性器が潮を噴いた。股間どころか太ももまで潮でべとべとになってしまった奏の身体を紫苑の指がするすると滑り、同じく潮まみれになった自分の手の平や指をぺろぺろと猫のように舐め上げる。

 奏の身体を解放してやると、奏はガクガクと絶頂の余韻に震えていた。紫苑は奏が自分のことを怖がるかと思っていたが、奏はそんなそぶりを見せなかった。
「奏ちゃん…幻滅したかしら?私のこと」
 奏は涙でぐしゃぐしゃになった自分の顔を両手で拭ってから、悲しそうに瞳を細めて自分を見ている紫苑と視線を合わせた。そんな顔をされては、たとえ幻滅したとしても頷けない。奏は行為自体は恥ずかしくて嫌だったが、紫苑が嫌いな訳ではないのだ。
「奏は、紫苑お姉さまのこと、嫌いになんかなれませんのです」
 にっこりと、奏は笑った。ちゃんと笑えているかは、分からなかったけれど。
 愛されているのなら、愛したい。
 ちっぽけな奏に出来るのはそれだけだから。
「さっきは、びっくりしましたけど……紫苑お姉さまが奏を望んで下さること、奏はとても嬉しいのですよ」
 紫苑はその奏の言葉に、安心したようにほろほろと涙を零して、奏を今度は優しく抱きしめた。
「ありがとう、大好きよ…いいえ、私は奏ちゃんを愛しているわ」
「泣かないでくださいなのです、紫苑お姉さま」
「いいの、これは嬉し涙なんですから」
 奏は紫苑に優しく紙を梳かれながら、そっと紫苑の身体に自分の腕を回した。女性にしては大柄な紫苑が思ったよりも細くて驚く。

 風が、さぁっと2人の間を通り抜けて2人を心地よく包んだ。




2007/05/27

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