ぎしり、とベッドが音を立てた。 目の前にはツナくんが、真っ赤な顔をして私を見ている。 どうしてこうなったんだっけ…? 今日はツナくんと2人きりで帰った。手を繋ぐことからなかなか先に進もうとしないツナくんの態度に実を言えば私はじりじりと苛立ちを感じていた。別にいきなり最後までの関係になりたかった訳じゃない。私だって、そんな人とお付き合いはしたくない。 ただ、ツナくんはあんまりにも呑気に構えていて、いえ、今思えばそれはツナくんの精一杯だったことは分かる。 私のことをいつも気にかけていてくれて、優しく優しくしてくれる。それは例えるのならばお姫様と忠実な召使いのような、そんな感じで私達の恋人としての時間がしばらく流れていた。 私はツナくんと対等でありたいの、とちょっと強く言ってみた。並中のアイドルと付き合ってるじゃないでしょ?私は沢田綱吉くんと付き合っていて、沢田綱吉くんは笹川京子と言う女の子と付き合ってるんじゃないの?って。 そう言ってからしばらく経ったある日、学校の帰り道に寄った公園でブランコに乗って2人で色々話をしていた時に、ふいにツナくんがブランコから離れて、私の正面に立ったかと思うと、そっと2人の口唇が重なった。それは一瞬の出来事で、その後公園を出て私の家までの間ツナくんは私と目を合わそうとしなかった。その顔は本当に真っ赤で、ああ照れてるんだなってよく分かった。かくいう私だってそれがファーストキスだったから恥ずかしかったけど、嬉しさの方が随分と大きかった。次の日に家に遊びに来た花にこっそり報告してみたら、ようやくキスかぁ〜って言われてしまった。でも、私嬉しかったの。こういうことは私達のテンポがある。階段を一段一段かみしめて上る様に進んでいく関係は私にとっても理想だ。 ある日、ちょっと雲行きが怪しかったけれど傘を持たずに家を出た。テレビの天気予報では降水確率は10%程度のものだし、学校のロッカーに確か折り畳み傘が入っているはずだったから、気にしなかった。 ちょうど6時間目が終わる頃にゴロゴロと空が音を立て始め、バケツをひっくり返したようなものすごい勢いで雨は降り出した。 外で行われる部活は全て中止となり、下校時の昇降口はとても混み合っていたので、少し時間を置いてから帰ろうと教室に一旦戻ろうとして、教室の中を覗いて見ていると、教室の真ん中らへんでツナくんを囲んで獄寺くんと山本くんの姿が見えた。 いつもツナくんと一緒に帰っていた2人だったけど、私とツナくんがおつきあいを始めてからは遠慮してくれているのか2人はついてこない。もっとも、家に遊びにいったりは頻繁にしているみたいなので帰りの時間くらいは、という心遣いなのだろう。 何をしているのかなと入り口の前でこっそり見ていると、ちらりと本のようなものが目に入った。しかも、こうグラビアモデルさんが際どいポーズを取っていたり、ヌードになっていたり…。私はびっくりして思わず「ツナくん!」と声を上げてしまった。ツナくんは突然の私の存在にとても慌てた様子で手にしたその本達を隠すことも出来ずにお手玉状態にしていた。獄寺くんと山本くんは本当にあっという間に教室から出ていってものすごいスピードで廊下を走って私の横を通り過ぎていった。 仕方ないので教室に入ってツナくんの席へと向かう。 「京子ちゃん、こっ、これは獄寺くん達がっ…!」 ああ、押し付けられたのね。 「良かった」 私はそう答えていた。 「ねえ、男の子ってやっぱりこういうの好き?」 「人によるけど、俺は京子ちゃんだけだから!ほんとに!」 ツナくんが誤解をしているようなので私は思っていたことをツナくんに話すことにした。 「私ね、ツナくんってあんまりこういうことに興味ないのかなってちょっと心配してたの。でも、私こんなにスタイル良くないしなぁ…」 「心配って…」 私の口からそう言う話題が出てくるなんて夢にも思っていなかったのだろうツナくんは、口をぱくぱくさせてただ私を見ているだけ。 「初めては好きな人としたいもの」 そう言ってにっこり笑うと、ツナくんは困ったような表情をしていた。その後、少し雨も弱まったので、折り畳み傘をロッカーから取り出して2人で帰ることになった。 しかし雨は弱まったかと思えばまた強くなってきて、風まで吹いてきた。横殴りになった雨は小さな女性用の折り畳み傘で相合い傘をしていた私達をびしょ濡れにしてしまった。 「京子ちゃん、うちに来なよ。そのまま帰ったら風邪引いちゃう」 全身濡れ鼠になってしまった私。確かにここからならツナくんの家の方がずっと近い。ちょっとお邪魔して一旦服を乾かした方がいいかも…と思って立ち寄ったのだ。 ツナくんは家に着くなり、私をお風呂に案内してくれて、私はツナくんのお母さんへの挨拶もそこそこにシャワーを使わせてもらった。身体を十分に温めてさせてもらい浴室から出ると、何もなかった。洗濯機は回っているということはツナくんのお母さんが濡れた制服と下着類を洗ってくれているということになるが、私の身体を拭くものがそこには存在していなかった。 どうしようかと思案していると、ドドドという音を立ててツナくんが脱衣所に突っ込んできた。思いっきり扉を開けると、ツナくんの目の前に全裸の私がいる。 「……あっ……!ごごごごめん!こっこれ、バスタオルと母さんの服!じゃあ!」 とても分かりやすい反応でツナくんは私にそれらを押し付けるとまたドドドと階段を駆け上がっていったようだった。私は有り難く差し出されたバスタオルで身体と髪の毛を拭いて、ツナくんのお母さんの私服を着る。ツナくんのお母さんは子持ちとは思えない位小さくて可愛い人なので、入らなかったらちょっとショックだなと思っていたけれど、ジャストフィットだった。 ツナくんの部屋に向かう前に、キッチンにいたツナくんのお母さんにお礼を述べると「お客様に失礼だけど、紅茶をいれたからツっくんと飲んでね」とお盆を渡された。それを抱えて階段を上がりツナくんの部屋のドアをノックする。そーっと開かれたドアの影に、ツナくんが申し訳なさそうに立っていた。 「紅茶、ツナくんのお母さんがいれてくれたの。預かってきました」 さっきのことなんて気にしてないよ、というそぶりを見せて私はツナくんの部屋に入って小さなテーブルの上に2つのカップを置いた。紅茶は琥珀色でカップの中でゆらゆらと揺れている。 お互い目線を合わせない時間が数秒あった。そして気がついたら私はツナくんのベッドの上にいて、ツナくんに押し倒されていた。 「京子ちゃん…あ、の、俺っ…」 気の聞いた言葉が浮かばない様子で一生懸命言葉を紡いでくれるツナくんのことが私は大好き。私だって立場は同じだもの、何をしてあげればいいのか全然分からない。だからせめて、優しいツナくんが傷つかない様に誘導してあげる。 「ツナくん…私とえっちしてくれるの?」 その台詞に頭を縦にぶんぶんと振るツナくん。子犬の様で可愛らしい。 「嬉しい、優しくしてね」 そう私が言うが早いか、男の本性なのかツナくんは昂る欲望を押さえられないと言ったばかりに私の身体をまさぐり始めた。 性欲が混じるキスとはこんなにも激しいものなのか。自分の身体が自分のものではない様にツナくんの愛撫にビクビクと反応を見せ、その度に私はため息と一緒に喘ぎ声を漏らしてしまう。それなりに成長しているおっぱいにツナくんは吸い付いて、舌先で私の乳首をちろちろと舐め回す。 「あっ、あん、ツナくんっ」 私は乳首というものがこんな風に固くなるのかと自分で触れてみて驚いた。つんと存在を主張して、空いている方の乳首を自分でこね回してみる。 「ツナくんっ、気持ちいいよぅ…」 私の腰の辺りがむずむずして、とても熱い。ああ、一度触れたことがある。私は過去に一度オナニーをしてみようと、雑誌の見よう見まねでそこに触れたことがある。結果、ツボがよく分からず気持ちいいというよりは痛かったので、それ以来そこに触れることはなかった。 「ツナくん、こっち…ここ、触ってみて…」 私はツナくんの手を取り股間に持っていく。ツナくんが恐る恐る私の中への入り口をつつっとなぞると、全身に電気が通ったような刺激が走った。 「京子ちゃん…濡れて、るんだ…」 私の反応に遠慮が無くなったツナくんは執拗に入り口の襞をぐりぐりと強く擦る。その度に私はあられもない声を出し、奥からはとろっとした愛液がどんどん溢れ出てツナくんの指をてらてらと濡らしていた。 「はぁっ、ツナくん、奥が疼くよ…ツナくんが欲しい」 ツナくんが雄の獣だとすれば私は雌の獣だ。経験などなくとも身体は正直に性欲に反応している。ツナくんはそそり立っていたペニスを私の入り口に宛てがい少しずつ挿入を繰り返しながら奥へ奥へと進んでくる。ツナくんのペニスの亀頭が私のクリトリスを擦るので、そちらからの刺激に酔っていた私はその後来る痛みなどすっかり忘れていた。 「ああん、はぁ…んっ!」 ぐりっとツナくんのものが私の処女膜を破り膣内に押し込まれていくのが分かる。身を焦がすような熱とはこんな感じだろう。ああ、気持ちいい。まるで2人が溶け合うようなそんな感覚に襲われる。ツナくんが激しく身を揺らして挿入を繰り返す。愛液と混ざって血が流れ出た様で、ツナくんは慌てて動くのをやめてしまった。 「血!京子ちゃん、血が出てるよ」 「平気だよ…これは初めての印なの。それよりツナくん、動いてっ…気持ちいいの、とっても気持ちいいの」 私の言葉に安心したツナくんは再び動き出す。ぎこちなかった最初の頃に比べると今はずっとスムーズに動いてくれる。ツナくんのペニスが私の膣内でゴリゴリと動くのがたまらなく気持ち良くて、ああ、もうイッてしまいそう…そうか、イくってこんな感じなのか…とトロトロに溶けた思考でそんなことを思っていた。 「ああ、京子ちゃん、俺出ちゃう…!」 さすがにコンドームもつけずにセックスして中出しするのは非常識と、ツナくんは慌ててペニスを私の中から引き出してしまった。ああ、正しい判断ではあったがもったいない…。 私は咄嗟にツナくんのペニスを口に含み、ツナくんの精液を受け止めた。しかし精液の苦さと匂いにビックリした私は口から離してしまい、精液はそのまま私の顔にどぷどぷと飛びかかる。顔にかけられた精液の熱さにうっとりとする。精液ってこんなに濃くてドロドロしてしてネバネバなんだぁ…。 「ご、ごめん京子ちゃんっ、今拭くからっ」 ツナくんは精液をかけられて惚けている私に慌てたらしく、タオルをごそごそとチェストの中から取り出している。 「ツナくん、私とのえっち、気持ち良かった?」 ツナくんが手にしたタオルをひったくって、そう聞いてみた。気持ち良くなければこんなに射精しないだろうけれど、これは生理現象であって気持ちが篭らなくたって同じことは出来る。 ツナくんは言葉を発する前に私をぎゅうっと抱きしめた。ちょっと苦しかったので小さく呻くと、ツナくんは抱擁の強さを若干弱めた。 「俺、すげー嬉しくて、夢みたいって…でも京子ちゃんの温もりはちゃんと感じて、ああ本当のことなんだなって…。俺、大事にするから、何があっても…っ!」 こんなに想ってもらえたら、女の子冥利に尽きるというものでしょ? そうして少しずつ逞しくなっていくツナくんを、私は隣でずっと見ているから。 これからも、よろしくね。 |