家庭教師ヒットマンREBORN!

オンナノコドウシ



 京子は読んでいた雑誌から視線をあげて、壁掛け時計を見た。もうすぐ午後3時になろうかという時間だった。
「そろそろ来るかな?」
 雑誌を閉じると本棚にしまい、何やらそわそわし始める。
 今日は、ハルが京子の家に泊まりにくる恒例のパジャマパーティーの日。いつも大体ハルはこのくらいの時間に笹川家にやってくる。それは今日も例外ではなかった。京子が時計とにらめっこを始めてそれほど経たないうちに来客を知らせる呼び鈴が鳴り、駆け足で部屋を出て階段を下りて玄関のドアを開けるとそこには私服姿のハルが、お泊まり用の道具を詰めた小さなバッグを小脇に抱えて立っていた。
「京子ちゃん、お泊まりに来ました!」
 ハルが勢い良く右手を上げてがばっとお辞儀をする。ハルのオーバーアクションはその場を和ませるものがあると京子は思う。
「待ってたよ、さぁ上がって」
 京子はハルが持っていたバッグをひったくるように奪うと、早くと言わんばかりに家の中へ呼び入れた。


 京子が用意した紅茶と、ハルが持ってきたお菓子をいただきながら2人はたわいもないような話をしながら笑う。女の子の会話というのは不思議なもので、話題のメインテーマが次々と流れるように変わってゆく。特にこの2人は通っている学校が違うので、まずは各々の学校であった話をお互いに報告し合うのだ。

「あっ、クラス写真持ってきたんですよ」

 そんな会話の中、ハルが思い出したようにそう言ってバッグの中をごそごそと漁った。
 それは前回のお泊まり会の時に、京子が「ハルのクラスメイトの顔が見てみたい」と言ったことがきっかけだった。
 ハルはツナや獄寺、山本はもちろん京子の親友の黒川花のことも知っている。そして自ら驚くことに京子の交友関係はあまり広くなかったのだ。並盛中のアイドルと呼ばれ、クラスメイトとも普通に会話したりはするけれど、それだけ。お弁当を一緒に食べたり、学校帰りに寄り道したり、そういうことをするのは京子にとっては並盛中では黒川花だけで、こうして家に呼んでお泊まり会なんてするのはハルだけだった。
 けれど、ハルの学校生活の中ではある程度絞られるけれども結構多数の人物の名が出てくるのだ。部活動もしているから顧問の先生や部員で学年が違う人の名前も当然ある。それらは京子にとって当然会ったことのない人なので、頭の中で具体的なイメージが湧いてこない。それで写真が見たいと言ったのだ。
「京子ちゃん、どーぞっ」
 ハルが写真を京子に差し出す。受け取って眺める。どの子がハルと昼食を共にしている子だろう、どの子がいつかの話に出てきた子なのだろう──。

 写真を眺めている自分の目線が若干きつめなのは京子自身がよく分かっていた。

 これは、嫉妬だ。
 自分の知らないハルの顔を知っている人間に嫉妬しているのだ。しかも女の子に。

 京子が自分の中にあるハルへの気持ちに気付いたのはそんなに最近のことではない。ツナを通して知り合った面白い女の子、最初はそれだけだった。けれど、一緒にケーキを食べたり、ツナ達も交えて遊んだりしているうちに京子は何事にもひたむきで前向きなハルに恋をした。
 女の子同士で恋だなんて言ってしまって良いのか分からないけれど、この気持ちに一番近い呼び名は恐らく「恋」だと思う。



 以前にこんなことがあった。ツナ達とちびっ子達とハルと京子で近くの大きな公園で遊んでいた。こじんまりした公園と違って遊具も大きくて種類もたくさんあった。中でも滑り台はひと際大きな、ちょっとしたアトラクションみたいな作りのものだった。ランボがいつもの様に突然「おれっちあれやるー!」と駆け出して、それをハルが「ランボちゃん、1人じゃ危ないですよっ〜!」と追いかけて行った。ツナ達は少し離れた場所でそんなやり取りを眺めてははっと笑っていた。
「ハルちゃん、危ない!」
 京子は突然叫んだ。よそ見をしていた男性陣は、京子の悲鳴に何があったのかとビックリしてその滑り台を凝視した。

 ハルは宙を舞っていた。

 ランボを慌てて追いかけていた為に階段から手と足を同時に滑らせて、頂上辺りから後ろ向きに地面へ墜落しようとしているところだった。

(どうしよう、助けなきゃ!)

 京子はパニック状態になりながらハルの落下地点へ向かおうとしたが、山本が京子を制して走り出し、無事にハルは山本に抱きとめられて怪我はなかった。
「はひ……あ、ありがとうございます、山本さん」
「いや間に合って良かったけどな。それは笹川のおかげだから」
「京子ちゃんもありがとうございます」
 ハルはぺこりと京子に向き合ってお辞儀をした。先程のパニック衝動からまだ抜け出せていない京子は、ぼろぼろと大粒の涙を流してしまった。
「はひっ、京子ちゃん!? 泣かないで下さい! ハルが悪かったです、ごめんなさいっ」
「……だよっ」
 京子はぎゅうっと両手を握りしめると、必死に喉から声を絞り出した。嗚咽で上手く言葉にならないのに。
「ハルちゃ…ん、怪我、しちゃ…うって、助けなきゃ…って」
 ハルが怪我をしてしまうことが怖くて、助けたのが自分じゃないことが何だか悔しくて。

 男性陣には泣いた女の子を慰める甲斐性はない。ツナはただ涙を拭く京子に驚いてオロオロしているし、獄寺はそんなツナの様子にオロオロしているし、山本は困った顔でハルと京子を眺めている。
 ハルは、きゅっと京子を軽く抱き、あやす様に頭をそっと撫でた。
「大丈夫です、ハルはどこも怪我してません。ありがとうです、京子ちゃん。京子ちゃんはハルの命の恩人ですよ」
 そうしてハルの香りに包まれていたら、京子のパニックも治まった。泣いたりした自分が突然恥ずかしくなって京子は顔を真っ赤にした。


 けれど、そのことがきっかけで何となく分かってしまったのだ。
 ハルに対する自分の気持ちが。


 後から冷静になって考えてみれば、京子では落下してくるハルを無事に抱きとめるなんて出来るはずもないのに。女2人で骨でも折って余計被害が大きくなるだけだ。だからあの場面で山本が飛び出してくれたのが何よりの幸いだった。スポーツで鍛えている彼ならば京子が行くよりは遥かに安全性が高い。
 でも、京子は自分が助けたかったのだ。自分のこの手で、ハルを。
 その事件があったあとのお泊まり会はお互い事件のことが引っかかってしまって、なんだかぎこちない雰囲気で終わってしまった。そしてだんだん時間が経ってきてやっと普通のムードになってきたところに出てきた、この嫉妬心。ハルの口から出る知らない名前の人物に無性に嫉妬してしまう。


 万人には当てはまらないとは思うが、女の子は友達に順位をつけてしまうものだと思う。たとえば何人かのグループで行動していても、そこで「2人組になって」と言われて別れる時は、自分の中で順位が高い人を選ぶものだ。
 そこで、京子はさりげなく「ハルの友達ランキング」を知ろうと話を振る。
 ハルは誰と教室移動を共にするのか、お弁当は誰と一緒に食べるのか、部活動では誰と──。
「ハルは京子ちゃんと花ちゃんみたいに決まって誰っていないんですよ。なんとなく集まっちゃったと言うか。わいわいしてますよ」
 なるほど…ハルはちょっと不思議な思考の持ち主だが、それがまた魅力でもあるのだろう。それに人懐っこい性格と雰囲気で固定の人がいないのかもしれない。
「でも、こんな風に家に遊びに行ったりお泊まりしたりっていうのは京子ちゃんだけです」
 その台詞に、どきりと心臓が大きく音を立てた。それは今の京子にとって殺し文句以外の何者でもない。
「そそ、そうなんだ。じゃあ私達一緒だね!」

 この思いも同じなら良いのに。




 時間は無性にも過ぎ行くもので、夕食を取り、お風呂に…という頃合い。京子は1人で湯船に浸かってぼんやりしていた。ちなみにハルは先に済ませいる。風呂の順番はお泊まり会では半ば決めごとになっていることのひとつだ。
(ハルちゃんに好きだと言ってもなぁ…)
 進展しようのない恋に京子の思考はグルグルとあらぬ方向に行ってしまう。京子だって子供ではない。この年で普通に男女でカップルになればどういうことが待っているのか、それくらいは分かる。
(……いやでもそれは早すぎないかしら。私達まだ中学生なのに!あ、でも花がクラスの誰かがもうそういうことしたって言ってたなぁ)
 雑誌にも載っていた。「セックス経験、何歳から!?」なんて特集。14歳、15歳と中学生のうちに済ませてしまう割合は思っていたよりもずっと高かった。ハルは「エッチな記事は見ません!」なんて言うタイプだから、こういう猥談系(?)はもっぱら花としている京子だが。
(女の子同士でも同じことをするの……?キスして、それで……?)
 京子はシミュレーションをしてみる。ハルにキスをする。これは別にいい。多分何の問題もなく出来るだろう。問題はそこからだ。裸のハルを想像してみる。京子とハルは殆ど体型は変わらない。ただ、ハルは新体操をやっているのでしまるところがきゅっとしまっていて、とても身体のラインが綺麗だ。京子と違うのは胸の大きさくらいで…。
(わわわー!!やだ私ってば、何てことっ……!)
 京子は頭に浮かんだハルの裸体に恥ずかしくなってお湯を顔にばしゃばしゃとかける。こういう言い方は正しくないかもしれないが、まるで想像の空間でハルを犯しているみたいだと京子は思った。



「京子ちゃん、随分長湯でしたね」
 ハルは普段は高い位置でポニーテールにしている髪の毛を下ろした状態で可愛らしいパステルグリーンのパジャマに着替えて、昼間京子が読んでいた雑誌をテーブルに広げていた。
「…うん…」
 風呂場で勝手に盛り上がっていた京子はどうも恥ずかしくってハルと視線を合わせづらい。
「京子ちゃん、この服プリティですよ〜、京子ちゃんによく似合うと思うんです」
 ハルが指差した先に写っていたものは、白を基調にしたシフォンのワンピース。同系色のリボンで飾られていて、確かに女の子なら憧れそうな洋服だった。
 しかし、今の京子の心境は白が似合う自分なんてまやかしだ、と思う。一点の穢れもないような天使にでも着てもらえば良い、そんな服。


「ハルちゃん」
「はひ?」
「キスしよう」
「はい、キスしましょう!……って、ええぇ!!?」
 最初は勢いで答えてしまったようなハルだったが、自分で復唱した時に単語の意味に気がついた。
「あ、でもほっぺとかですよね。分かります。ハルもプリティーなチャイルドを見ちゃうとほっぺとかにキスしたくなっちゃうんです」
 リボーンとの最初の出会いでも思い出しているのか、ハルはキャッキャとはしゃいでいる。
「あのね、口にしたいの」
 京子がそこで話に乗ってこないことで様子が何やら違うことに気付いたハルは、京子に対してきちっと正座して様子を伺う。
「いや?私とキスをするの」
「京子ちゃんは、それで良いんですか?大切な唇を、練習台のハルに捧げちゃって」
 どうやらハルは自分は京子が他の人とキスをする為の練習だと思ったらしい。
「練習とか、違うよ」
「ファーストキスは、大好きな人にとっておきましょう」
 ああ、これが恋愛と友情の壁なのか、それとも性別の壁なのか。ハルへの恋心をさらりと流されてしまうことに京子は激しくイライラした。


──ウバッテシマエバイイ。
 京子の中にもいた悪魔が、妖艶な笑みを浮かべて京子の理性の壁をガラガラと崩した。


 ハルの頬を両の手の平で優しく包み込んで動けない様にすると、京子はハルの唇に自分のそれを重ねる。少し唇を離してハルの唇をちろりと舌先でなぞると、京子はハルを解放した。
 唇同士が触れただけなのにこんなにも優しくて暖かくて切なくて痛い。京子は糸の切れた操り人形の様に身体から力が抜けて、かくんとうなだれた。罵声を浴びるのか、侮蔑の視線が向けられるのか。自分がいわゆる「正常」ではないことは分かっているのでどちらも覚悟の上だ。
「……き、ょうこちゃん」
 ハルは言葉を探した。必死に。進学校に通っているというのに、勉学で得た知識はこういう場面では役に立ってくれない。
「ハルちゃんの…初めてのキス?」
 京子から言葉が出てきたので、その問いかけにハルはこっくりと頷いた。まさしくファーストキスだ。
「ごめんね……でも、私欲しかったんだ。本当は……キスだけじゃないけど」
「……はひ?キスだけじゃないって」
「ハルちゃんの嫌いなえっちなこと…かな」
「〜〜〜!?だ、だってハルと京子ちゃんは女の子同士ですよ?」

 ぴくり。

 女の子同士だからなんだというのだ。

 そのハルの台詞に京子はかちんときて、それまで腑抜けた身体に空気を入れてガバリと立ち上がると、ハルの身体にダイブした。受け止めた方のハルは床に押し倒された形になっている。
 京子はハルを自分の腕の中に見下ろしながら、心の中で押さえていた鬱憤を吐き出した。
「女の子同士だからって何!?そんなにいけないことなの?だって好きなんだもん……私、ハルちゃんが好きなんだもん!」
「京子ちゃ……」
「ハルちゃんなんか、何も知らないくせに。私が今どんな気持ちでいるかなんて、これっぽっちも知らないくせに」
 そこまでいうと、京子ははーはーと肩で大きく息をしながら呼吸する。ハルは、どうしていいのかわからなかった。反論出来ない。

 ハルは知らない。今の京子の気持ちを。

 ハルは知らない。こんなに自分を好いてくれる人を嫌いになる方法を。

 ハルは知らない。

「教えてくれますか?京子ちゃん」
 京子ちゃんがどうしたいのかを──。






 とりあえず床のままではお互い痛いのでベッドへと場所を変える。
「えっと、パジャマ脱いだ方が良いんですよね」
 ハルがボタンに手を掛けると、京子がそれを制する。
「それ、私がしたい」
 京子にそう言われてはハルは逆らうことはせずにぶらりと腕を下げた。京子が器用にぷちぷちとボタンを外していく。緩んだところが広がって、そこから覗くハルの肌がとても艶かしく思えた。京子は悪戯心からそのハルの皮膚をついばむ様にキスをしてみると、ビックリしたハルが「はひっ!」と声を小さく上げた。

 そうしてお互い全て脱いで、生まれたままの姿、つまり全裸になった。水泳の授業の時の着替えなどでたまに誰かの裸を見たことがあるけれど、シチュエーションや場所が違えばこんなにも恥ずかしいものなのか…とハルも京子も思った。
 ハルがもじもじしていると、京子は吸い込まれる様に腕を伸ばして、ハルの柔らかい胸を揉み始めた。
「はひっ!あぅ…」
「ハルちゃんの胸、柔らかい……」
 何かに取り憑かれた様に京子が一心不乱にハルの胸を揉んでいると、ハルの胸の飾りが可愛らしくぷっくりと立ち上がった。
「あっ、ねぇ、固くなったよ?これって気持ちいい証拠なんだよ、ハルちゃん」
「んっ…そ、そんなこと、知らないです…ひゃう!」
「可愛い…さくらんぼみたい」
 そう言うと京子はちゅうっとハルの右の乳首を吸った。そのまま舌で舐めてみる。
「き、京子ちゃんっ、赤ちゃんじゃないんですからぁ…」
「でもなんか甘い気がする」
「嘘ですよ!」
「ん、じゃあ……」
 やっと京子の興味が胸から逸れた。しかし、そうなると残るはセックスに置いて最大の山場(?)である女性器。保健体育の授業で見たことがあるくらいで、自分のさえ触れたことがない。さてどうしたらいいものか…京子の中で、色んな知識が総動員される。
「ハルちゃん、寝っ転がって」
「は、はいっ」
「そんで、あ、…足、開いてっ!」
「は、はいぃぃ!?」
 雑誌(最近のティーンズ雑誌は過激だ)で得た知識で京子はハルのその女性器を探し当て、近くでまじまじと見つめる。
(こうなってるんだ…うわぁ…って、ここから赤ちゃんが生まれるの?)

 こんな狭いところから出てくるなんてなんて生命の神秘。

 なんて思っている場合ではないと京子は気を取り直して、その襞に指を恐る恐る触れてみる。ハルがちょっと悶えたけど、刺激としてはさほどではないようだ。

 下の方から上の方に指を動かすと、何か突起のようなものに触れた。京子は不思議そうにそこを擦ってみると、ハルの反応が大きく変わった。

「あっ、京子ちゃ、そこやっ…!ビリビリってぇ!」
 そして先程触れていた襞の奥から溢れてきた、とろりとした液体が京子の指を濡らした。

「ハルちゃん、ここ……気持ちいいでしょ?」
 京子は突起が何なのかを理解して、そしてそこを重点的に弄る。

(これがクリトリスかぁ……)

 京子は空いた手でそっと自分の下半身にあるそれを探してみる。見本が目の前にあるので大体の位置がすぐに分かった。自分で自分のものに触れてみると、電気のような刺激が背中を走った。
「きゃあ…!」
 京子もたまらず声を上げる。
「ふぇ、な、何ですかっ…!?」
「ハルちゃん……どうせなら、2人で気持ち良くなろう」
「な、え、どうやって…??」
「こうしたら…いいんじゃないかな…!」
 京子はハルに跨がると、自分のクリトリスをハルのクリトリスに当たる様に腰を動かす。予備知識がないため手探りなのでなかなか良い感じにならないが、やがてぴったりのポジションが見つかった。

「あぁ、あっ、きょぉこちゃん…」
「んっ、はぁ…ハルちゃ…ん!」
 互いのクリトリスが刺激し合い、可憐な2つの蜜壷からは愛液が溢れ出て、どちらのものとも分からない様に混ざり合って摩擦運動の潤滑油代わりにもなってくれている。

「あ、ああっ、ダメです、なにこれぇ…!!」

「あぅ、あ、はっ──!!」

 可愛らしい少女2人は、襲いくる快楽の波にのまれて絶頂へと昇っていった。





「──ハルちゃん、大丈夫……?」
 腰が砕けた、という言葉が今の京子にはぴったりだ。下半身は愛液でベトベトしているけれど、それを綺麗にしようという気が起きないくらいの衝撃だった。
「はひぃ〜〜……もう動けないです」
 ハルも同じく。とはいえ、その前から京子にあれこれされていたので疲れは京子よりもずっと強いだろう。
「今のがね、イッた、ってやつなんだよ。すごく気持ち良かったってこと!」
 ごろりとベッドの上でハルにすり寄ると、ハルは顔を真っ赤にして京子を見つめた。
「私すっごく幸せ!ハルちゃんがここまでさせてくれるなんて想像してなかったから」
 そんな京子の天真爛漫な笑顔を見ていたら、ハルの胸もほっこりと温かくなる。京子が喜んでくれたのなら何でもいいか、とハルは思った。
「私、もっと勉強してハルちゃんのことをもっとも〜っと気持ち良くしてあげるねっ」



 京子の勉強の成果は、ハルだけが知るところ。




←BACK