家庭教師ヒットマンREBORN!

SUMMER GAME



 夏の暑い夏休み、プールで過ごすのもいいけどやっぱり泳ぐなら海が良い。せっかく近い場所に海水浴場もあるのだから──並盛は中学生の子どもが遊ぶにはスポットが多い。
 そんな訳で、ツナ、獄寺、山本、京子、ハルと仲の良いメンツで並盛海岸へ来ている。じりじりと照りつける太陽、晴れ渡った空、打ち寄せる青い波。着替えが簡単な男子達は早めに更衣室を出た様で、ハルと京子の2人が出てくるのを海の家でかき氷を食べながら待っていた。
「ったく、女共はおっせーなー!十代目をお待たせするなんて」
 レモン味のかき氷をしゃくしゃくとほおばりながら獄寺はいつも通りの悪態をつく。
「まあまあ、女の子は色々あるんだよ」
 十代目こと平凡中学生、ダメツナこと沢田綱吉は平凡らしくスタンダードにいちご味のかき氷をつついていた。かき氷というものは食べ過ぎるとキーンと頭に響くのに、獄寺はよくハイスピードで食べているなぁ…と感心している。
「そうだな、時間はたっぷりあるし、そうかっかすんなって!」
 真夏のその青空の様にすかっと爽やかなスポーツ少年、山本武はのほほんとメロン味のかき氷の味を楽しいんでいる。山本はトラブルさえも楽しい遊びに変えてしまう天才だ。
 3人が囲むテーブルの上には、京子とハルの分のかき氷も置いてある。京子の注文はツナと同じいちご味、ハルは夏にしか食べれない!とブルーハワイ味。獄寺じゃないが、早く来ないとかき氷が溶けてしまうなぁ、そんなことを思いながらツナが女の子達のかき氷を眺めていると可愛らしい笑い声が聞こえてきた。

「遅くなってごめんね、お待たせ!」
 京子の声に男子達が一斉に少女達の方へと視線を向けた。

(な、なんて大胆な…!)

 声にこそ出さなかったが、男子達の心境はこの一言に尽きるかもしれない。
 京子は可愛らしいフリルが所々にあしらわれたデザインの桜色のビキニ。ハルは飾り気がないけれど、薄グリーン色に統一されたローレグの要所要所を紐で結ばれたビキニ。幼い顔立ちの割には2人は身体の方はしっかりと成長していた。夏の太陽は白い肌にセクシーな影を作る。
「水着は京子ちゃんと花ちゃんとこないだ買いに行ったんですよ」
「人から見える意見って重要だからねー」
 にこにこと少女達は罪のない笑顔で男子達に話しかけているが、3人は少々うわのそらだった。後ろの方から「おっ、あそこの2人すげえ可愛い!」という男達の声が聞こえてくるのだ。

 山本と獄寺はケンカもかなりの腕前だから、多少絡まれても何とかしのぐだろう。けれど、ツナはボディガード役にはイマイチ物足りない。都合良くリボーンが現れて死ぬ気弾を打ってくれるか分からない。海水浴場はかなりの人でごった返しているから、はぐれてしまうことがあった時にどうするか。3人は京子とハルに聞こえない程度の小声でひそひそと会議を始め、結果ツナには山本がつくことになった。単純にじゃんけんで獄寺がツナ争いに負けたのだ。
「ね、ねぇ、すごく人が多いからさ、はぐれた時一緒に行動する人を決めようよ」
 何を言ってるのといった顔で京子とハルはツナの提案にクエスチョンマークを飛ばした。
「皆で一緒にいれば平気じゃない?」
「はぐれる、なんてことありますかねぇ…?」
「万が一ってことがあるからな」
 こういう時に上手く間に入れるのは山本の特技。不自然でなく良い様にことを運んでいくのだ。
「そう…?」
 京子とハルは別に反論することもなく男子側の意見を受け入れた。

 そして海で遊び始めて、どれくらい時間が経ったか。
 「万が一」は起こってしまったのである。





 ハルが泳いでいるうちに波に流されて、ツナ達とだいぶ距離を置いてしまった。しかもなんだが随分奥まったところまで来てしまったようである。人が少ないのだ。
「彼女可愛いね〜、何でこんなところで1人なの?良かったら俺達と…」
 そんなハルに浅黒い顔の男が声をかけ、肩に手を乗せた。ハルが驚いてその男と向き合うと、男の後ろには獄寺がいた。
「はひっ、獄寺さん…」
 男は知らない名前を呼ばれて、ハルの視線をそのまま辿る。すると、後ろにはなんだが柄の悪そうな少年、獄寺隼人が不機嫌な顔で突っ立っていた。
「兄ちゃん、悪ぃーけどそいつ俺の連れなんで帰ってくんねぇ?」
 ビリビリした不機嫌ムードが漂ってくるので、男達はそそくさと退散を決め込んだ。
「何でいるんですか?」
 1人で泳いでいたのに何故獄寺がここにいるのか不思議でならないハル。
「おめーな、本当にはぐれんなよ!このアホ女!」
「ハルはアホじゃないです!…でも、助けてくれたんですね、ありがとうございます」
 獄寺にぺこりとお辞儀をするハルの姿を見て獄寺は激しく動揺した。きゅっと寄せられ形を変えた柔らかそうな胸の谷間がくっきりと見えてしまったから。

(おおお、落ち着け!素数、素数を数えるんだ…!)
 視線が宙を泳いで顔を赤らめている獄寺をハルはまたまた不思議そうに見つめている。
「そういえば、山本さんがはぐれた時はハルは獄寺さんと一緒にいろって言ってましたよね。なるほど、こういうことだったんですね」
 ハルはひとりでうんうん、納得ですと頷いて、また獄寺を見てみる。

「獄寺さん、どこ見てるんですか?」
「うるせぇ、ええとどこまで数えた…」

 獄寺はまだいっぱいいっぱいの様子。一緒に居ろと言われた以上、勝手に泳いでいってしまう訳にもいかない。つまらないので、ハルは獄寺の腕に自分の腕を絡ませてぴっとりとくっついてみた。獄寺の腕がハルの胸に挟まれて、肌がくっついてるところだけほんのりと体温がうつる。
「……って、うわぁ!ハル何くっついてんだー!俺の努力を無にするな!」
「努力ってなんですか」
 待ちぼうけをくらっているハルはぷぅと頬を膨らませ唇を尖らせる。獄寺から見るアングルだと先程の衝撃など比べ物にならないくらいの肉欲の香りがするようなカットだった。ぐっと、自分のモノが熱く固くなるのが分かる。
「あー、えーとその、離れろ」
「はひっ!なんて酷いんでしょう!いいです、ハルはひとりであっち行きます」
「いやちょっと待て、離れるなっ」
 ここでハルをひとりにさせてまた何かあれば、ツナからの信用を失ってしまうし、何より夏の楽しい思い出に傷をつけるような目にハルをあわせたくない。
「獄寺さん言ってることが矛盾してます。もう知りません」
 ハルはべーっと舌を出して、より人が居ない岩場の方へとすいーっと泳いで行ってしまった。もちろん獄寺は慌ててそのハルの後を追う。全くやっかいな女だ、とグチグチ言いながら。

 獄寺がハルに追いついたときは、ハルはぽつんとひとりで立ちつくしていた。
「何やってんだハル」
「……獄寺さん、だけですか?」
「は?まあ周りにゃ俺らだけだけど、どうした」
「あの…非常に恥ずかしいんですが…水着の紐がほどけちゃいました…背中の」
 言われてみれば、ハルの背中で結ばれていた紐がほどけてだらりと垂れてしまっていた。ハルは両手で必死に胸を押さえている。手を離せば胸が露になってしまう。
「ベタだなぁお前…」
 どこかの漫画じゃあるまいし、と獄寺はがくりと項垂れる。ハルの真っ白い背中を眺めていたら、獄寺はさらにベタな展開にしてやろうかと悪戯をハルに仕掛けた。
 紐を結んでやる振りをして、そこからぐいっと手を差し込んで、ハルの胸をぐにゅっと掴んでやったのだ。
「ごっ獄寺さんっ!何するんですか」
 ハルが驚いてうっかり手を離してしまい、そのまま獄寺の手の平がハルの胸を隠す様に包んでいる。
「おっ、結構あんじゃん…柔らけーし」
「や、やん…そんな風に揉まないでください…」
「何だよハル、感じてんのか?」
 冗談のつもりで獄寺が問いかけると、ハルは真っ赤にした顔を手で覆い隠した。ふるふるとその細い指先は震えている。
「か、感じちゃ悪いですか…女の子にだって性欲はあるんですっ」
「…ハル」
「獄寺さんはハルにこんなことして、何のつもりなんですか。玩具でも弄んでる気分なんですか」
 か弱く叫ぶハルの言葉の語尾はぐずっと涙ぐんでいるようだった。獄寺はその問いかけには何も答えずに、そっとハルの胸から手を離し、ハルの正面に回る。
「悪かった、ハル」
 獄寺はハルの細い肩を優しく抱き寄せて、水着の首の後ろの結び目をほどいてしまうと、そばの岩場にぽとりと置いた。
 そしてついばむようなキスをハルと交わす。ハルは獄寺からのキスを嫌がらなかった。
「俺も正直限界来てたから…優しくしてやれねーと思うけど」
 よく見れば岩場のもう少し先にはまた砂浜が広がっていた。草が生えているのでここは日向にはならないらしく、ハルの身体を抱えて上がっても足の裏は熱さを感じなかった。

 獄寺はハルを横たえると、下の水着の紐もほどいてハルの身体の全てを晒す。獄寺も水着を脱いでフルヌードになると、そこには天を向いてそそり立つ自身の肉棒があった。ハルの性器の襞をそっと広げ見るとそこからはすでに甘い蜜がトロトロと溢れてきている。
「すっげぇ…やらしい身体なんだなお前って」
「そんなこと言わないでっ…早く」
 ちゅくちゅくと性器に指の先を入れたり、肉芽をぐりぐりと指で擦りあげたりと獄寺があれこれ楽しんでいる。その刺激がハルのお腹の奥辺りでじんじんと熱をもたせて、むあっとしたフェロモンのような香りを醸し出す。

 ハルの可愛いおねだりに我慢できず、獄寺は肉棒を一気にハルの中へと埋め込んだ。少々狭いハルの膣内は刺激を受けるには十分で、きゅうきゅうと締め付けてくる。頭の中を真っ白にして、獄寺はハルの腰に自分の腰を打ち付けて挿入を繰り返すと、ハルが身体をよがらせて大きく喘ぐ。
「あぁ、は…んっああ!あん!」
 2人の皮膚がぶつかり合う音と、獄寺の精液とハルの愛液が絡み合い混じり合ってぐちゅぐちゅといういやらしい水音をたてている。2人にはその音が心地よく鼓膜の中へと入ってくる。
「ハル…そろそろ出ちまう…っ」
「ん…あぅ、はんっ!ハルの中に、獄寺さんのいっぱい出して下さい…!」
 どんどん早くなる心臓の鼓動にあわせて、2人は絶頂を求め合う。キツく締まるハルの熱い膣内に、獄寺は思いっきり精液を吐き出した。
 少し息を整えてハルの中からずるりと自分の肉棒を抜くと、どろどろの精液とハルの愛液が混じり合ったものがそこから糸を引いてハルの中と繋がっていた。

 一方、山本・ツナ・京子の3人は、はぐれてしまった2人を心配していた。
「帰ってこないね…ハルちゃんと獄寺くん…」
「ま、でも獄寺くんついてるから平気だよ」
「んー…まあそれもある意味危ないけどな」
 意味深な山本の一言にツナはひやりとしたが、やがて夕陽が水平線に沈もうとしている頃にようやくハルと獄寺組は3人と合流した。
「すみません十代目。でもハルの奴すんげー遠くまで行っちまって…」
「みなさんご心配をかけてすみませんです…」
 しょんぼりしている2人に、3人は無事だったのならそれで良いと安心して、5人は各々の自宅へと向かうことにした。

 電車の中で京子がハルにこそりと耳打ちしてきた。
「獄寺くんと何かあった?」
 するどい京子の言葉にハルは挙動不審になる。
「ななな、ナニモナイデスヨ?」
「じゃ、どうして下の水着の結び目が縦結びになっちゃってたのかな?」
「じ、自分で結び直したんですよっ」
 京子はハルの横顔をじぃっと見つめて「まっ、いいけどっ」とツナと会話を始めた。
 バレなかった、と思ったのはハルだけで、一緒に着替えていた京子はちゃんと知っている。海に来た時の着替えはもちろん背中の紐は京子が結んであげたのだが、下の水着はハルがきちんと蝶々結びにしていたことを。




←BACK