2人でホールケーキを全部食べ終わった後に風呂に入って、寝る準備をしているとがくぽが何やらワクワクした目でこちらを見ていた。 「…何かあるのか?」 「別に…これといっては」 マスターはじと目で自分の部屋のドアを見つめる。サプライズは自分から仕掛けたものだけでなく、どうやらがくぽからもあるらしい。 「まあいいや、寝るぞがくぽ」 くいっとがくぽの手首を掴んで自分の身体へと引き寄せる。 「うむ」 妙に大人しくとてとてとマスターの後に続いてくる。 そしてマスターががちゃりとドアを開けると…。 「…えっと…?」 がくぽはキラキラした目でマスターの顔を覗き込むが、マスターは何をどうしたらがくぽがそんな目で自分を見てくるのかが分からない。目の前に広がるのはいつもの自分の部屋だということ以外特に変わったところなどないのだ。 暗くてよく見えないのかと思い、部屋の照明をつけてみると、鈍いマスターでも、ほんのりとがくぽからのサプライズが分かってきた。 「ああ、部屋が綺麗になってる」 いつもは衣類も雑誌も乱雑に放り投げられているのに、そういう乱れた部分が無くなっている。 「がくぽが片付けてくれたのか」 「うむ、あまりにも目に余ったのでな。で、どうじゃ?綺麗か?」 とっても、とマスターが答えてわしゃわしゃとがくぽの頭を撫でてやると、がくぽは満足げに目を細めてにこにこしている。まったく、黙っていたらビクスドールと見紛うばかりの、誰もが見蕩れるほどの長身の美人ながくぽなのに、こうやって一緒に生活していると日々様々な知識を吸収して成長していく子どもの様だ。 マスターが先にベッドに上がると、そのベッドも綺麗に整えられていて新しいシーツがピンときっちり伸ばされて、そこに身を沈めるのはとても心地よいものだった。続いてがくぽがぽふっとベッドに転がるとシーツは波のような皺を作る。せっかく真っ直ぐにしたのに、とがくぽは自分の周りに出来た皺をちょいちょいと伸ばしていた。 「なに可愛いことしてんのー」 クスクス笑いながらマスターはその様子をじっと眺めていた。皺と格闘していたがくぽはきりのない戦いに疲れてふにゃりとうつぶせの体勢をとる。 「だって、せっかく綺麗にしたのにまた皺が寄ってしまった…」 「じゃあ明日も皺伸ばしてよ」 マスターはそっとがくぽに覆い被さって、薄紫の髪の毛をさらさらといたずらに弄ぶ。がくぽの髪の毛はあまり絡まない。先程の様にぐしゃぐしゃにしても簡単に手ぐしで直してやればまた美しいラインを描く。その髪の毛が1本1本絹の糸の様な輝きを持って流れていくのは手触りはもちろん、見ていてとても気持ちがいい。 「そもそも何故シーツに皺が寄るのじゃ…」 むぅ、と膨れっ面をマスターに見せてがくぽは唸る。普通に寝るだけなら余程寝相が悪くなければそんなに乱れないものだし、2人ともどちらかというとあまり寝返りを打ったりしないタイプだった。 「そりゃーやっぱり、乱れるようなことしてるからかな」 がくぽの肩を掴んで仰向けになる様に力を入れる。マスターの台詞の意味を理解するのに数秒かかったがくぽは、その隙にマスターに口唇を許してしまう。唾液でしっとりと濡れた紅い口唇をマスターの舌がちろりと舐めると、そのくすぐったさにがくぽの身体がびくりと動く。 「がくぽ、たまには俺にご奉仕しない?」 マスターはそう言ってするりと下半身を隠していたものを全て脱ぎ、先程の接吻で少々持ち上がっているマスターのペニスをがくぽの目の前に差し出した。 「なっ…何をっ」 「初めてだから、舐めてくれればいいよ」 どうやら引っ込める気は毛頭なさそうなマスターの様子にがくぽは覚悟を決めて、マスターの望む行為をすることに決めた。やりやすいように上半身を起こして、マスターのまだへろんとしているペニスをそっと白く細い手で包み込み、先端をちろりを舐めてみた。 そう、マスターがいつも自分にしていることをすればいいのだ。自分がされている最中はがくぽも必死なので完全に同じ様に出来るとは思わないが、がくぽなりに必死に舌や口を使ってフェラチオを続けた。ちゅっちゅと陰茎に口付けペロペロと舐め、亀頭部分を口に含みじゅぶじゅぶと頭を前後に動かしてマスターのペニスを刺激する。 始めたときとは比べ物にならないくらいにマスターのペニスは固く熱く勃起して、今すぐにでもがくぽの身体の奥を貫けるほどになった。 「がくぽ、もういいから離せ」 「ふぇっ?れも…」 「がくぽの中に出したいから」 がくぽはかあっと顔を赤くして、言われるがままマスターのペニスから口も手も離した。マスターは乱暴にがくぽから浴衣を剥ぎ取り裸体にしてしまうと、自分の口に指を入れて唾液で濡らすとその指をがくぽの身体の奥へと続く入り口に入れ、唾液を潤滑油代わりにしてぐちゅぐちゅと掻き回す。 マスターの急いた行動にがくぽは狼狽るが、弱いところの肉襞を強く強く擦り上げられて、あられもない嬌声を惜しげもなく零してしまう。 「あっ!ああっ、そこやだぁ…」 「本当にここが弱いんだな」 マスターはニヤリと口端を上げると、がくぽの中を掻き回していた指を引きずり出して、代わりに先程がくぽに拙いながら初めての奉仕を受けてガチガチになっている自身のペニスをぐりぐりと埋め込んでいく。質量が大きなものが身体の中へと侵入していく感覚に震え、がくぽは背中を大きく弓なりに反らせて痛みを和らげようとする。何度繰り返したところでこの瞬間は慣れないのだ。 「い、痛っ!マス、ター…あ!」 大きく見開かれたがくぽの瞳からほろりと涙が一粒零れ、シーツに小さな染みを作った。そこからはお互いにかけ合う言葉もなく、聞こえるのは粘膜同士が混ざり合う水音と、互いの皮膚がぶつかり合う音、そして2人の身体の揺れに合わせてギシギシとベッドのスプリングがあげる悲鳴。 「…ぁ…!」 マスターから小さな声が漏れたと同時に律動運動が激しくなって、ぶるるっとマスターの身体が震えた。がくぽは、マスターが射精したと同時にがくぽ自身もまた射精したようで、その精液はがくぽ自身の身体の上にぽたぽたと落ちて艶っぽいコントラストを作っている。 「がくぽの精液は苦くないね」 胸に飛び散ったがくぽの精液をぺろりとマスターが舐めとると、そううっとりと呟いた。 「……ま、マスター」 がくぽはマスターとは目を合わさずに呼吸を整えながら話しかける。その呼び声はだんだんとか細くなっていく。 「なに?」 「…その、ご奉仕は、上手くやれたのであろうか…?」 マスターがちらりとがくぽの表情を盗み見ると、恥ずかしくて耐えられないと言わんばかりに耳まで真っ赤にして今にも泣きそうだった。 「がくぽは可愛いね。上手い上手くないより、がくぽがここまでしてくれているっていうシチュエーションに酔っちゃった」 マスターはそうしていつものごとく自分の懐にがくぽの身体を収めてぎゅうっと抱きしめる。そうだと思い出した様に、額にキスをちゅっちゅと落としていきながら。 「しちゅ…えーしょん?」 額に落とされるキスに安心した様にがくぽはマスターに擦り寄る。いつの間にかここが自分の定位置に決まってしまったような気がするのは、もうこうして眠ることの方が多いからだろうか。 「状況、って意味」 落ち着いたがくぽの様子を確認して、マスターはがくぽの身体が収まりやすい様に少し身体の位置を変えた。 「マスターは人が悪いのじゃ…いや、変態なのじゃな」 「ちょっと!自分のマスターに変態はないだろ」 「だって…私が困っている様子を見て楽しんでいたのであろう?やはり変態じゃ」 「だって困ってるがくぽって可愛いんだもんよー。そっちが悪い」 そうこう言い合っているうちに、性交の疲れもあって2人に眠気がおりてくる。睡魔に逆らわずに身を任せていればいつの間にか2人とも安らかな寝息を立てて眠り始めた。 次の日、がくぽがまたベッドメイキングをしようとベッドの前に立っていた。案の定ぐちゃぐちゃになったシーツには先日は気付かなかった染みを色々と見つけてしまい、夜に行われたことが一気に頭の中を駆け巡ってしまい、恥ずかしさのあまりフリーズしてしまったところをマスターが救助に入った。 「お前、生娘じゃねえんだから…」 「うるさい!恥ずかしいものは恥ずかしいのじゃー!」 2人はゴウンゴウンと回る洗濯機にシーツを放り込んで、他愛もない言い合いを繰り広げた。 こんな光景も日常になりつつある、マスターとがくぽの日々。歌はどうしましたか? |